打出の小槌

聖観音菩薩

立鳥跡を濁さず

理想を掲げた自分の思いが叶わず、新たな道を選び大きく旅立とうとしている時、鳥の様に後を濁さないのが常識なのですが、時に人は鳥よりも劣るのか、過去をひっくり返し、ごちゃごちゃにして行く人が居ます。
　自分では満足していても、それは側から見たら滑稽なだけ。無駄な時間を過ごし、過去の自分を否定しようとしているに過ぎないのです。
　必ず後で気付くはずです。無くした信用と失った友。取り返す事の出来ない過ちに。
　心にゆとりが無く、焦りだけが先行する。見境無く結果を求め、さ迷い歩く。後振り構わず振舞う自分を見て、他人がどう思うかなど、関係が無くなってしまうのです。
　鳥は巣立ちの時、何を思い綺麗なまま、巣を残して旅立つのでしょうか。
　それはそこで生まれた子ども達の教育。そしてもう一度戻って来るかも知れないから、または、後からこの巣を使う鳥に、恥ずかしくない為に。だからこそ、今出来る最善を尽くし、その巣を離れるのです。
　世の中変わり過ぎてしまい、いい年をした人生の経験者でさえも、鳥より劣るのかと不思議にさえ思えるのです。

悪魔の微笑み

時間をかけ、折角築き上げて来た礎が、もろく崩れて行く。築城の姿を見失い、悪魔の囁きに耳を貸してしまった結末が、そこに有るのです。
　誰もが皆、行き詰まりを感じ迷う事も有る。しかし最初の意志に戻り、そこから始まる新たな道を捜し、心恥じぬよう前に進むのです。
　単なる行き詰まりを、自分以外の責任に置き換え、自分を正当化する。そこで微笑む悪魔に気付く事もなく、違う道を選ばされてしまう。少しだけ冷静に今を見渡し、状況を判断したら、手ぐすね引く悪魔が、見えたはずなのです。
　昨日までの時間が無駄に成り、初めて気付く自分の愚かさに。
　しかし後には戻れない歯がゆさが、自分を悪魔に変え、崩れきれぬ過去の礎を、自分で壊す事に専念し、かえって惨めさを露呈する事になるのです。
　しかも何の得も得られない。無駄な時間を過ごして居る事さえ、気付く事もないのです。
　自然界の正しい道から、去り行く人の後姿には、苦笑いする悪魔が負ぶさって居るのでしょうか。

運気が変わる

今と言う瞬間が過去の集大成であり、未来に繋ぐ全ての条件の発生源で有ります。
　勿論、未来の選択肢は１つではなく、自由に選ぶ事が出来るのですが、満たされた条件の中での事であり、そう多く有るとは限らないのです。
　何気なく過ごす毎日の中では、未来は自動的に更新され、意識による変革は、大変難しい物と成ってしまいます。
　そんな時、運が良いだとか悪いだとか、勝手な判断をし解決しようとしても、意味の有る物とは思えないのです。
　それより未来を有効的な物にして行く為には、自分の意志で運を変え、想像を超える未来を築く事の方が、よっぽど大切なのです。
　また運を変える事は、左程、難しい物ではありません。今の在り方を少し変えるだけで良いのです。
　そして、今の在り方は過去によって作られた物だから、過去の在り方を意識の中で、清算する事で成り立つのです。
　そこには新しい気付きがあり、幸運の女神が微笑みながら、向こうからやって来ます。