白紙の巻紙

人は皆、生まれると直ぐに、白紙の巻紙を神から手渡され、その通りに生きたら良いよと言われる。しかし白紙だからそのままでは、誰も読む事は出来ないのです。
　だからその裏に有る物に、気付かなければ成りません。白紙だと思うから見えない。目で読もうとするから、読めないのです。
　心を開き、心眼で読もうとした時、初めて文字や記号が表れてきます。しかしその意味は非常に難しく、簡単に理解できるものではないのです。
　何故なら難しい漢字で書かれた、幾通りもの道が有り、また幾つもの落とし穴も有り、そして迷路が何処までも、続いているのです。
　何ひとつ決まった物はなく、逆に自由過ぎて、白紙の行が言葉巧みに誘惑してきます。誤魔化して良いんだよ、嘘を付いて良いんだよ、黙っていれば誰も気付かないからと。
　でも目を閉じ、意識を右手の中指に集中させ、白紙の行をなぞってみると、今まで自分がやって来た過去が全部書かれていて、隠し続けた来た弱点が、さらけ出されているのです。
　初めから知っていた神は、常に人を試す。そして、教えるのではなく気付かせる。真の優しさは、厳しさの中に有る事を学ぶのです。